「武士・武将・軍人・司令官」に関する名言
の名言・格言
大将は大なる知恵も細なる知恵もなくてはかなわぬものなり。知恵は生まれつきにありというも、その知恵を磨かざれば正智(正しい知識)いずることなし。知恵に自慢おごりて、磨かざる大将はみな代々持ち来る国を失い、家をなくすものなり。
の名言・格言
藤吉郎(秀吉)は何が不足なのか。浮気など言語道断です。あんな禿げネズミ、どこをどう探したってあなたのような女性には二度と巡り合えないというのに。しかし、やきもちはいけない。夫の世話をちゃんとして、言いたいことがあっても言わない方がいいでしょう。【覚書き|夫に対する愚痴を信長にぶちまけた秀吉の妻ねね(おね、高台院)に送った手紙より】
の名言・格言
大将は知恵を持って肝要とす。知恵なき者は万事に惑いあるものなり。知恵には大小あり。知恵大なれば天下を治めて不足なく、知恵小さきなれば一国一城も治まりかねるものなり。
の名言・格言
それならば、わしが目付を買って出よう。お前は副吏と心得よ。副吏の心得をどのように思うか。家中の者たちから恐れられるようになろうとしては、かえって害が出てくるものだ。上よりまず礼儀を正し、家臣はその恩恵をかたじけなく感じて我が行いを恥じるようになりたいものだ。 【覚書き|弟の島津義弘から「最近平和になり家中の若者たちの風紀が乱れてきたので厳しく叱っていただけませんか」と進言された時の返答】
の名言・格言
総じて人は己に勝つをもって成り、自ら愛するをもって敗るるぞ。よく古今の人物を見よ。事業を創起するする人、大抵十に七・八まではよく成し得れども、残りふたつを終るまで成し得る人の希なるは、始めはよく己を慎み、事をも敬するゆえ功も立ち名も顕るるなり。
の名言・格言
表に桜を植えたのは、参詣する人が花を楽しみ、心が豊かになるだろうからだ。裏に栗を植えたのは、栗の実は何かあった時には食料となり、枝は薪にも使うことができる。桜は花を楽しませ、栗は実を取る。 【覚書き:熊本に寺を作った時、門前に桜を植え、裏には栗の木を植えた。上記発言はなぜそうするのか問われた時の返答】
の名言・格言
功立ち名顕るるにしたがい、いつしか自らを愛する心起こり、恐懼戒慎(きょうくかいしん=恐縮し言動を慎むこと)の意、緩み、驕矜(きょうきょう=おごりたかぶること)の気、しばらく長じ、その成し得たる事業をたのみ、いやしくも我が事をし遂げんとまずき仕事に陥り、終に敗るるものにて、みな自ら招くなり。ゆえに己に勝ちて、見ず聞かざるところに戒慎するものなり。
の名言・格言
肝要のところに気を配れ。どうでもよいところに気をつけるものではない。小板葺きにして立派になっても、百姓が疲れきっているようでは、使者は国主の政治が良くないことを見抜くだろう。使者になるほどの者は、様々なことに気付く者だ。途中、当国の地を通って風俗、生活を見て、富み栄えているか、城門が粗末であろうと何の問題もない。むしろ、城門は立派なのに民衆が疲労している方が問題だ。 【覚書き:上記発言は、他国からの使者に見栄えが良いよう茅葺きの城門の屋根を小板葺きに造り替えてはどうかという家臣からの進言への返答。】
の名言・格言
道は天地自然の未知なる故、講学の道は敬天愛人を目的とし、身を修する克己をもって終始せよ。己に勝つ極功は「意なし、必なし、固なし、我なし」と云えり。
の名言・格言
大将たらん人は、心に油断の義ありては叶うべからず。あまたの心得あるべし。まず能者を親しみ近づけ、姦(あ)しき者を遠ざくべし。国家の風俗おのずからよくなるものなり。それにしたがって自然に対象の知恵もいや増しに出るものなり。
の名言・格言
仁に過ぎれば弱くなる。義に過ぎれば固くなる。礼に過ぎればへつらいとなる。知に過ぎれば嘘をつく。信に過ぎれば損をする。 【覚書き|仁愛に厚くなりすぎれば人を想うあまり強く出れない。正義に偏ると頭が固くなってしまう。礼儀を尽くしすぎるとへつらいになる。知識に偏りすぎると嘘をつくことになる。信義に厚くなりすぎると裏切られて損をする】
の名言・格言
・苦は楽しみの種 楽は苦の種と知るべし ・主人と親とは無理なる物(理屈が通らないもの)と思え 下人は足らぬものと知るべし ・子ほど親を思え 子なき者は自分の身を思う気持ちほど親を思え 近き手本と知るべし ・掟を恐れよ 火を恐れよ 分別なき者を恐れよ 恩を忘れることなかれ ・欲と色と酒を敵と知るべし ・朝寝すべからず 話の座長すべからず ・小なることは分別せよ 大きなることは驚くべからず ・九分に足らず 十分はこぼれると知るべし ・分別は堪忍にあるべしと知るべし
の名言・格言
人の一生は重き荷を負うて 遠き道を行くが如し 急ぐべからず 不自由を 常と思えば 不足なし 心に望みおこらば 困窮し足る時を思い出すべし 堪忍は無事長久の基 怒りを敵と思え 勝つことばかり知りて 負くるを知らざれば 害その身に至る 己を責めて 人を責むるな 及ばざるは 過ぎたるに 勝れり
の名言・格言
お前らの気持ちはよくわかる。友軍機も来んかもわからん。だが、軍人は最後まで戦うのが務めだ。百姓がクワを持つのも、兵が銃を握るのも、それが務めであり、最後まで務めは果たさならんのは、同じだ。務めを果たすときは、誰でも鬼になる。まして戦(いくさ)じゃけん。鬼にならんでできるものじゃなか。
の名言・格言
人は艱難はともにできるが、富貴はともにできぬ。 【覚書き|人間は理想や志への挑戦に対し大勢が一緒になって苦労することはできるが、富や名誉を求めるために大勢が一緒に行動することはできないという趣旨の発言】
の名言・格言
内閣からもつまはじきにされ、国民からも恨まれるかもしれない。朝鮮人やロシア人から憎まれるかもしれないが、良い子になろうなどと思うと、間違いが起こる。天下皆、お前さんの敵になっても、氷川のじいさんは、お前さんの味方だと思っていなさいよ。 【覚書き|韓国で起きた閔姫暗殺事件の後処理に向かう小村寿太郎に贈った言葉。氷川のじいさんとは海舟自身のこと】
の名言・格言
1パイントの汗が、1ガロンの流血を防ぐ。「急(せ)く」とは、きちんと偵察をせず、援護火器を準備せず、すべての要因を活用していないことを言う。こんな戦闘計画は戦闘開始までは早いが、片をつけるまで結局長くかかる。
の名言・格言
軍人として、いざ戦いの場合、敵国に勝たしめるのが職分だ。だから、いかにすれば勝てるかを考える。兵隊の本務は敵を殺すにあり。その思考法は常に直接的だ。
の名言・格言
耐え忍ばなければならないことを、どうすれば解決できるか良く考えることが大事だ。【覚書き|隆景の座右の銘は最初「堪忍」だったが、のちに「思案」に変化した。耐え忍ぶ前に、我慢しなければいけない状況の打開策を考えることが先だという言葉】
の名言・格言
城の水、わずかにこればかりなり。いまだ力の疲れを知らないうちに必死の戦いをしようではないか。【覚書き|上記発言は近江の佐々木義賢に攻められ、長江寺城に籠城した時の言葉。敵に水の補給路を断たれ、残りが水瓶3つとなったとき、籠城は辞め、討死に覚悟で打って出ることを決意。部下たちに水を飲ませたのち、瓶をたたき割り、出撃する。勝たなければ死ぬという状況で勝利を勝ち取る。以来、勝家は瓶割の柴田と呼ばれさらに戦績を増していく】
の名言・格言
そんな事はスキピオに任せておけ。 【覚書き|アルプスを越えてローマに攻め込んだカンナエの戦いの直前、カルタゴ本国からハンニバルもとに「ローマの将軍スキピオがスペインのカルタゴ領を攻略し、本国へ進軍している」という報告が来た。ハンニバルは報告を無視し、ローマ進軍を進めた。最も重要な目標に焦点を合わせることが重要ということを表した歴史的エピソード】
の名言・格言
君は大事なことを見逃している。あれほどたくさんの人がいたって、あのなかにギスコという人はいないのだから。【覚書き|カルタゴとローマ軍との歴史的な戦い「カンナエ(カンネー)の戦い」前夜、ナイーブになっていた将軍ギスコに対しての激励の言葉。カンナエの戦いは敵のローマ軍戦力8万人に対し、自軍のカルタゴが5万人の劣勢で、さらにアルプス越えで疲労しながら戦わなければならないという難しい戦だった。このあとカルタゴ軍は劣勢を覆し歴史的勝利を勝ち取る】
の名言・格言
危うきに乗じて、もって倖を求む。 【覚書き|意訳は危険を冒して幸運を期待したという意味。幽州遠征を行って北方を平定した時の言葉。部下は危険だと反対したが断行。なんとか平定は成し遂げたものの、大きな損害を出してしまった。曹操は以後、運を当てにした作戦はやらないと誓った】
の名言・格言
刀二つにて使う兵法は、負くるも一人、勝つも一人のみなり。これはいと小さき兵法なり。勝負ともに、その得失わずかなり。一人勝ちて天下かち、一人負けて天下まく、これ大なる兵法なり。
の名言・格言
官舎でやもめ暮らしをしている間に、読書の癖がついた。とくに鎮海の閑職時代には書物を読むのが何より楽しみであった。いま、海軍大臣という大事な仕事をするのに、それが非常に役に立っているように思われる。【覚書き|帝国海軍で「島流し」と呼ばれていた閑職である鎮海要港部司令官を務めていたときを振り返っての発言】
の名言・格言
容赦なく、逃れる術もなく、緊張が指揮官の判断力、自信を消耗させる。参謀たちが次々と、予期しない良くない戦況の報告を持ってくるので、その重圧は指揮官の胸にますます激しく突き刺さる。このような状況において指揮官はまず楽観的であることが重要である。
の名言・格言
全滅とは何だ?お前と俺が生きているじゃないか。【覚書き|タイのジットラでイギリス軍と戦い、隊に大打撃を受けた下士官を叱咤激励した言葉。暗闇の中での戦闘だったため、状況確認をせずに部下の士気を下げるような軽はずみな発言はするなという意味も含んでいる】
の名言・格言
降伏するのであれば、その艦は停止せねばならない。しかるに、敵はいまだ前進している。 【覚書き:日露戦争日本海海戦での発言。バルチック艦隊が白旗を上げて降伏したが、前進し続けたため砲撃を続行させた。国際法にのっとった、ルールを徹底した砲撃だった。東郷平八郎の冷静で、厳格、そして用心深い性格をよくあらわしたエピソード。】
の名言・格言
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか 【覚書き|上記は幸若舞の『敦盛』の一節。敦盛は源平合戦での平敦盛と源平方の熊谷直実との一騎打ちを描いた舞曲。信長は同舞曲を好んで歌い舞ったといわれている】
の名言・格言
戦場は千変万化にて、かねて定めたることの違うことあるものなれば、手筈の違うところに任せて、よく働くをもって肝要とす。定めたるところの違へば、それに当惑して狼狽するにより、大なる負にもなり、穢(きたな)き首尾にもなるものなり。
の名言・格言
心に物なき時は、心広く体豊かなり 心に我慢なき時は、敬愛失わず 心に欲なき時は、義理を行う 心に私なき時は、疑うことなし 心に驕りなき時は、人を敬う 心に誤りなき時は、人を畏(おそ)れず 心に邪見なき時は、人を育つる 心に貪りなき時は、人にへつらうことなし 心に怒りなき時は、言葉柔らかなり 心に堪忍ある時は、事を調(ととの)う 心に曇りなき時は、心静かなり 心に勇ある時は、悔やむことなし 心賎しからざる時は、願い好まず 心に孝行ある時は、忠節厚し 心に自慢なき時は、人の善を知り 心に迷いなきときは、人を咎めず
の名言・格言
人間は不遇になった時、はじめて友情のなんたるかを知るものだ。【覚書き|信長に取り入って権力を手中に収めようとした僧侶を斬り殺し、信長の怒りを買ってしまった時を振り返っての言葉。不遇な境遇になった時こそ、本当の友人、偽物の友人がわかり、友情のありがたさがわかるという趣旨の発言】
の名言・格言
国家は先祖より子孫へ伝え候国家にして、我私すべきものにはこれなく候。人民は国家に属したる人民にて、我私すべきもににはこれなく候。国家人民のために立てる君にて、君のために立てる国家人民にはこれなく候。右三条、御遺念あるまじく候事。【覚書き|引退するときに次期藩主に伝えた言葉】
の名言・格言
神の罰より主君の罰おそるべし。主君の罰より臣下の罰おそるべし。そのゆえは神の罰は祈りてもまぬるべし。主君の罰は詫言して謝すべし。ただ臣下百姓にうとまれては必ず国を失う。ゆえに祈りても詫言してもその罰はまぬかれがたし。ゆえに神の罰、主君の罰より臣下万民の罰はもっとも恐れるべし。【覚書き|神や主君には祈ったり謝ったりすれば許してもらえるが、部下や民から恨まれると謝っても許してもらうことはできない。だから下の者たちの恨みは買わないようにせよという意味】
の名言・格言
俺が見事な弓矢をとることができたのは、皆、平出政秀が諌死(かんし)したからだ。【覚書き|平出政秀は信長の教育係だった人物。奇妙な格好と行動で大うつけと呼ばれていた信長を諌めるため自ら切腹した。以後信長は家の再興と天下統一に邁進する。「見事な弓矢をとる」とは、「武士として成長できたということ」を意味している】
の名言・格言
これはそちのためにしているのだ。乱心ではない。わしが諸臣に嫌がられて、一日も早く長政の代になるとよいと思わせるためだ。 【覚書き|家臣に名君と慕われていた如水が病気で死ぬ直前に豹変し、部下をののしり始めた。上記は息子の黒田長政が如水に理由を聞いたときの返答】
の名言・格言
露と落ち、露と消えにし、わが身かな。難波のことも、夢のまた夢。【覚書き|秀吉の辞世の句。絢爛豪華な大阪城を築き天下を統一した自分も、朝露のように生まれ、そして朝露のように儚く死んでいくという無常を詠んだ一句】
の名言・格言
私はケチだから麦飯を食べているわけではない。いま天下は乱れに乱れ、領民も安らかな日は一日もない。そんななか私一人が暖衣飽食などできるものか。私が麦飯を食っているのも、少しでも節約して軍資金に回すためなのだ。
の名言・格言
茶の湯・鷹狩り・女狂いなどは秀吉の真似など決してしてはならぬ。ただし、茶の湯というものは上品な慰み事であるから、しばしば茶会を開き、人を招待したりすることは、一向かまわない。また鷹狩りは、鳶鷹・鶉鷹など、男児の慰みとして盛んにやってよい。女中は屋敷の中に5人なり10人なり置いても差し支えない。ただ、屋敷の外で見苦しく女狂いをしたり、鷹野や茶の湯なども、秀吉のようにむやみやたらにやって、下賤の輩や人目のはばかる所へやたらに出入りすることのなきように、十分に慎むこと。 【覚書き|甥の秀次への訓戒】
の名言・格言
人を殺す刀、かえってすなわち人を活かす剣なりとは、それ乱れたる世には、ゆえなき者多く死するなり。乱れたる世を治める為に、殺人刀を用いて、己に治まる時は、殺人刀すなわち活人剣ならずや。
の名言・格言
後世、日本海海戦が神秘的な力で勝ったように思われては、日本の運命が危ぶまれる。【覚書き|山本氏は8年間海軍のトップとしてロシア海軍打倒を目標に様々な活動を行った。天運のみでは勝てなかったことを十分知っており、後世の軍人たちが思考停止になることを危惧しての発言。残念ながらこの後、日本海海戦は神格化されてしまう】
の名言・格言
無刀とて、必ずしも人の刀をとらずして敵わぬという儀にあらず。また刀を取りて見せて、これを名誉にせんにてもなし。わが刀なき時、人に斬られじとの無刀なり。
の名言・格言
すべてが上手くいっているかどうか知りたければ、自分でやれ。【覚書き|司令官になったら部下に仕事を一任するのではなく、自分でやったり、現場を直接見て自分の目で確かめろという言葉。】
の名言・格言
人の後について鬱屈した気持ちで過ごすより、武功を立てて大国を賜るか、目を驚かすような戦死を遂げたい。どちらかは天運に任せている。【覚書き|大凶の日に出陣しようとしたとき、家臣に縁起が悪いので中止しませんかと進言されての返答。】
の名言・格言
勝つべき合戦、取るべき城、攻めの時を選び、方角を考え、時日を移すことはなはだ口惜しく候。いかに良き日なるとて、大風に船をだし、大勢に一人向かわばその甲斐なかるべく候。【覚書き|当時、戦前に占いや風水で日時や攻め込む方角を決めていた。その風潮に異を唱えた言葉。どんな吉日でも、状況が悪化しているのであれば意味がなく、タイミングを計って攻め込んだ方が勝つ確率がずっと高くなるという意味】
の名言・格言
怪しいところには、弾丸をぶち込め。【覚書き|アルデンヌの森を突破し、フランスに攻め込む際に発した言葉。視界が狭い森の中で敵軍に襲われないように、敵が潜んでいそうな怪しいところにはとにかく弾を撃ち込み、反応がなければ進み、撃ち返して来たら殲滅するという戦術をとった】
の名言・格言
人質は長くとっておくと、親子であっても親しみが薄れて効果がなくなる。恩愛に溺れて人質を捨てかねるものである。【覚書き|自分の幼少時代の人質体験から出た言葉。この教訓にしたがって、大名を従えるのに人質を取っただけでなく、家族愛が薄れないように参勤交代で数年に一度一緒に暮らさせるという仕組みを作った。】
の名言・格言
おのおのの申すことはもっともだが、延引することも時と場合による。今は火急の時だ。わからぬ将来のことを心配しているより、まず目前のことをする。【覚書き|伊達家家臣である鮎貝家の中に内通者がおり、敵の最上義光と組んで謀反を起こしたときの発言。正宗はすぐに反逆者を討とうとしたが、老臣たちが慎重な行動を求めた。正宗は上記の発言をした後、反逆者を即座に討ち取った】
の名言・格言
放っておけ。それより書いてある内容が見たい。予のためになるものもあるだろう。【覚書き|天下統一をなし遂げた後、街中に体制批判をするビラがまかれたときの発言。他人の意見をよく聞いて自分の弱点を補った家康の人となりをよくあらわすエピソード】
の名言・格言
今後、命令は議論の根拠と考えてはならず、行動の根拠とする。【覚書き|第二次大戦北アフリカ戦線で砂漠の狐ことロンメル元帥率いるドイツ軍と戦った時に発した言葉。圧倒的に不利な状況で司令官に任命され、兵士たちを奮い立たせるための発言。できない理由を議論するより、目標達成に向けて行動せよという意味が込められている。このあとモンゴメリー指揮のもと、イギリス軍はロンメルを撃破しノルマンディ上陸作戦へと突き進む】
の名言・格言
真面目で、主君思いで、協調性もあり、勤勉な上に仕事もできる。そんな心と能力を持った人間はトップクラスの良臣だ。しかし、心ばえはそこまで良くなくても、何か優れた能力を持った者ならば採用すべきだ。
の名言・格言
明日はきっと一戦あるなというようなときは、首をよく洗っておけ。武士たるもの、生きているときは鬼神のように戦い、死しては誉を永遠に残せるよう心掛けよ。
の名言・格言
いにしえの道を聞きても唱えても、我が行いにせずば甲斐なし。【意訳|昔のありがたい哲学や学問を学んだり唱えたりしても、実行に移さなければ意味がない】
の名言・格言
人は心と気を働かすことをもって良しとするものだ。用を言いつけられなかったからといって、そのまま退出するようでは役に立たない。その点、お前は塵に気付いて拾った。なかなか感心である。【覚書き|あるとき信長が、近習たちを呼びつけたのに用事を言わずに退席させた。その中の一人が塵が落ちているのを見つけ、退席するついでに拾った時の発言。言われたことをやるだけでは不十分で、それ以上のことに気を使えという教訓】
の名言・格言
これよりふたたび、わしに曹操への降伏を勧める者があるなら、この机と同じ運命になると思え。 【覚書き|曹操率いる魏軍との赤壁の戦い直前の発言。魏軍20万人、呉軍3万人の状況で「今回は降伏し、次の機会を探ってはどうか」と進言された孫権が目の前の机を剣で叩き割り、言い放った言葉。この決断を見て士気が高まり、呉が勝利した】
の名言・格言
人はただ、さし出づるこそ、よかりけれ。戦のときも先駆けをして。【覚書き|信長の配下になり知恵と行動で出世する秀吉を周囲の者が妬んだ。嫉妬した者の一人が「人は皆、さし出でぬこそ、よかりけれ。戦のときは先駆けをして」という皮肉を歌にした。上記はその歌への返歌】
の名言・格言
世の中で主のために追腹を切る(後を追って切腹すること)ぐらいつまらぬことはない。腹を切って死んだとしても、わしに従って地獄・極楽を駆け巡るわけではあるまい。わしはただ立派な士を一人でも多く、大切に思う子に譲りたいのだ。必ず殉死を禁ぜよ。
の名言・格言
家来が勇であるか怯(臆病)であるか、平時の目利きなどは二割は外れるものだ。体力も知力もあると見込んだ男十人のうち、一、二人は本番で大臆病であることが判明する。一方、体力も知力もないと見ていた男十人のうち、一、二人は実戦で比類なき働きをするものだ。
の名言・格言
時節到来すれば家が崩るるものなり。その時崩すまじきとすれば、きたな崩しするなり。時節到来と思わば崩したるがごときなり。その時は抱きとどまることもあるものなり。【意訳:時が来れば家や組織は壊れるものだ。その時に往生際悪く壊さないようにすると、かえって見苦しく壊れる。それよりも、家や組織が壊れる時が来たと思ってさっさと壊してしまえば、かえって持ち直すこともある】
の名言・格言
戦争ほど尊い人命を無駄にするものはない。たったこれだけの弾薬を使っただけで、一人の戦死者も出さずにすんだのだ。なんと安上がりなことか。 【覚書き:朝鮮戦争時に防衛のため大量の弾薬を使ったことについてアメリカ議会から使いすぎではないかと問われていった言葉。部下を死なせずに済むなら弾薬を大量に使っても安いものだという趣旨の発言】
の名言・格言
何ごとにつけても良いことがあれば次にまた悪いこともおこるもので、その点をよく考えて悪い事の起らぬ先に注意することが肝心である。また、悪いことがあれば次には良いこともあるはずだと思って、心を静めなさるがよい。生まれ出る喜びがあれば、必ず死する悲しみがあり、悲喜こもごも到来するのである。
の名言・格言
楽しいときでも、悲しい時でも、無常の心持というものを忘れてはならない。それについて、いかにして楽しくなったか、何ゆえにわびしいかなどと、因果の道理を考えてみるがよい。生死の常ならざることを思い定めておくがよい。
の名言・格言
俺もやっとのことで虎の口を逃れたが、岡田の早業には感心したよ。後日俺は岡田に向かって「君は人を殺すことをたしなんではいけない。先日のような挙動は改めたがよかろう」と忠告したら、「先生、それでもあのとき、私がいなかったら先生の首はすでに飛んでしまっていましょう」と言った。これには俺も一言もなかったよ。 【覚書き|岡田とは「人斬り以蔵」の異名をとった幕末の剣豪・岡田以蔵のこと。海舟が京都で刺客に襲われ、以蔵がとっさに刺客を斬り殺し海舟を救った時の話】
の名言・格言
思わぬ失敗をしたり、不慮の災難に遭ったりなどして嘆かわしいことが起こってきたとしても、むやみに嘆き悲しんではいけない。これも前世の報いだと思って、早く諦めるがよい。
の名言・格言
一時の感情に制せられず、冷ややかな頭をもって国家の利害を考え、群議を排して自分の信ずるところを行うというには、必ず胸中に余裕がなくてはできないものだ。【覚書き|彦根藩家老の岡本黄石への言葉。彦根藩は井伊直弼が藩主だった。井伊が暗殺された時、黄石は冷静かつ粛々と藩政を執った】
の名言・格言
合戦するとき、(兵力が)一万と三千は、その大将の考えで三千の方がたびたび勝つものである。そのわけは、小勢の方は(勝って生きるか、負けて死ぬか)二つに一つと兵士たちは覚悟しているからである。だから、大軍の大将は油断してはならない。
の名言・格言
書生だの浪人だのという連中は、昔から絶えず俺のところへやってくるが、ときにはうるさいと思うこともあるけれど、しかし、よく考えてみると、彼らが無用意に話す言葉の内には、社会の景況や時勢の変遷が自然にわかって、なかなか味わうべきことがあるよ。匹夫匹婦の言も、虚心平気でこれを聞けば、みな天籟(てんらい=絶妙の詩文)だ。
の名言・格言
指揮官が勝利を目標にするのは当然である。また、強い意志で部下を指導するのも必要である。だが、ひたすら肉体を敵の銃弾の前に投げ出すことだけが勇気ではない。近代戦の指揮官にとって、まず心がけるべきは味方の損害の防止であり、個人的信条を部下に押し付けないことである。
の名言・格言
身分が低くお金もあまりない武士が具足(甲冑一式)をあつらえるときは、胴や籠手のほかは粗末なものでいい。だが、兜には念を入れ、良い物を付ける心得が必要だ。なぜなら討死にを遂げたとき、兜は首と一緒に敵の手に渡るからだ。【覚書き|死してもなお誇りを失わないような心意気を持てという意味合いが含まれた言葉】
の名言・格言
諸君が指揮官になった時、部下に死を与えることを躊躇してはならない。死とは、ただ人間がこの世に入ってきたドアから、また出ていくだけだ。誰も、自分がどのドアから入ってきたかは知らず、それに文句をいう者もいない。
の名言・格言
はじめから主君に楯突こうと思っている者はいない。思い上がりと、恨みと、それから生じる欲心が謀反を起こさせるのだ。恨みのある心には悪事が寄り集まり、やがて主君の恩に背き不義を働き、父祖が積み上げた業績も棒に振って領地まで失ってしまう。これは足利将軍家の人々にもよくあったことだ。覚えておけ。
の名言・格言
合戦談を聞く場合、たいていな者が大事なことは問わず、枝葉のことばかり聞きたがる。誰が手柄を立てたとか、誰を討ち取ったとか、そんなことばかりを聞きたがる。一人武者の手柄話を聞いたとて、何の役に立とう。部隊の駆け引き、戦の変化などを主眼にして聞いてこそ合戦談も役に立つのだ。
の名言・格言
もし、私が意気消沈していれば、彼ら全員が臆病になる。もし、私が決然と敵に対して戦う準備を整え声をかければ、彼らは私を真似て行動し従う。
の名言・格言
武士は分に過ぎた高価な馬を持ってはならない。戦場でよき敵を見かけて追い詰め飛び降りて組まんとするとき、あるいは槍を合わせんとて降り立たんとするとき、馬中間(馬を引く足軽、従卒)が遅れていると、人に馬を奪われはしないかなどと考えて、つい心がひるんで、よき期をはずしてしまうものである。