新業態を始めるにあたってリスクも考えました。最初はうまくいっても、いつか飽きられてしまうかもしれない、とかね。しかし、私はいつも、稲盛和夫さんの「楽天的に発想し、悲観的に構想し、楽天的に実行する」という言葉を心の支えにしています。構想の段階では悲観的にリスクを考えておくべきだが、発想と実行は前向きにイケイケでやりなさいと。ですから、閃いて、やると決めたからには、あとは自信を持って実行したまでです。
人は誰でも「俺が、俺が」になりがち。人より余計にお金が欲しいし、いい服を着ていい車に乗りたい。だけど、社長業には「周りの人を第一に考えなきゃいけない」という鉄則があります。そこに気付いて、「ああ、そうだよな。運命共同体の社員も自分と一緒に満足して幸せにならなきゃいけない」と思えるかどうかが肝要なんです。
たとえ体調を崩したとしても、療養生活に入るのではなく、仕事を続けることが私にとっては最高の健康法だと思っています。「病は気から」という言葉があります。一昨年の大けがのときも、私は病室で仕事を続けました。奇跡的に回復したのは、主治医の先生によれば、「本人の気力のたまもの」だそうです。 【覚書き|73歳時の発言】