誰をターゲットにするかによって戦略は変わる。違うタイプの顧客には、当然違う戦略を立てる必要がある。
あなたにとっての最初のステップは、自分の会社を、市場で最も信用され評価され大事にされる商品・サービスの提供者、アドバイザー、ソースと見なすことだ。あなたが顧客にとって業界で最も信頼のおける親友、最も確かな専門知識の持ち主、市場一番の達人なのだと認識しなければいけない。
私はコモディティ化した商品(一般化してユニークではなくなった差別化しにくい商品)をそれだけでは決して売らない。むしろ、必ず有形か無形の要素を加えて独自なもの、他と比較できないものにする。商品をパッケージで提供すれば、価値をより高く知覚してもらえる。
ビジネスを停滞させる9つの要因
低迷している事業のほとんどは、現金の流入ではなく、流出するのを防ぐのに苦労している。ポケットに穴が開いているかのように、すべての儲けが気付かぬうちになくなっている。給与、設備、インフラといった間接費が、乾ききったスポンジのように利益を吸い取ってしまうのだ。そうだとしたら、おそらくマーケティングの投資利益率を測定していないことが大きな穴のひとつだろう。
誰かとパートナーを組めば、あなたの行ける場所は無限に広がるが、それだけではなく、あなたには基盤も資金も必要ないのだ。ジョイントベンチャー(合弁事業とそのパートナー)を通して何にでもアクセスできるからだ。相手にあなたが必要としているものを提供すれば大きな見返りが得られると納得させることができさえすれば、どんなものでもあなたの自由にすることができる。
人にものを売る商売では、まず、もっとも敏感に反応する層をターゲットにするのが鉄則だ。そうした顧客にこちらからアプローチするか、向こうから来てくれるように動機を与える。そうしてから、彼らを引きつけた取引、互いが継続的に見返りを得られる持続的でリピート性のある関係を始めるきっかけとなる初回取引を成立させる。
人が何かを変えたいと思う理由はなんだろうか。そのもとになっているのは、苦痛、不安、それとも喜びだろうか。人の脳は、喜びを求める100倍も苦痛を避ける傾向がある。ということは苦痛の方がウリになるといえる。セキュリティや法律業務、保険などの提供者は不安が顧客の動機づけになっていることに気付くべきだ。
営業とは、人間関係だ。一番強固な関係を築けた人がその信頼関係によって相手に買わせることができる。人は、信用のできる、自分に一番似た人から買う。実際に売れそうな相手は、あなたを信用して何かを打ち明けようとする。単に情報が欲しいだけの顧客は、自分のことや自分が求めているものを伝えようとしない。
その市場で見込み客に最大の利益をもたらせる取引相手は自分しかいないということを、心の底から信じることが重要だ。なぜなら、心から誠実に接しなければ、それ以上取引を続けることは自分の良心に背くことになるからだ。
ビジネス停滞理由トップ4
あなたの今のやり方が唯一の方法ではない。新しいことをやりはじめたら、その影響力をできるだけ正確に判断するために、それまでやっていたことと比較する必要がある。より良いアプローチを見つけたらそれがビジネスに拡大するタイミング。見つからなかったらそろそろ別のことをやり始めるタイミングだ。
私の考えるマーケティングとは、単純だが、自分たちが問題を解決できることを市場に納得させるか、隙間を埋めるか、他の誰にもできない方法で機会や目的を実現すること、それに尽きる。マーケティングはビジネス永続の基本だ。ビジネスを成功させるには、優秀なマーケッターでなければならない。偉大なマーケッターは生まれるものではなく、つくられるものだ。
私はマーケティングをこう定義している。ある市場を構成しる人々に、「私たちがあなたの問題を解決し、隙間を埋め、機会や望み、目標を実現します。よそに同じことはできません」と「教える」こと。
レストランを開業するのに一番重要なことは、立地でも、シェフでも、機材でも、レシピでもない。「飢えたお客」がいることだ。
表面的ではなく深く入り込んで考える。心から感情移入し、取引相手が何を理解し、尊敬し、どう世の中を見ているかを理解する。お客様が言葉では表現しきれない隠れた要望や懸念を見つけ出し解決する。その視点に立脚して初めて、マーケティングは正しく機能する。
ビジネスの目的や精神性があってこそ、マーケティングは正しく機能する。
顧客リストを眺めて、消費者の一人を単なる数字の「1」としてしか考えられなくなるような、消費者心理に寄り添わないセールスやマーケティングでは、ビジネスは継続できない。
もし典型的な経営者が、自分の行動を日記につけたとしたら、8割近くが非生産的で注意散漫な行動だったことに気付くだろう。マネジメント、戦略化、そして、パフォーマンスを高め、事業をコンスタントに成長させる取り組みに専念している経営者はほとんどいない。これまで通りのやり方で時間、金、人的資本を費やし続け、事業を停滞させる。
チャンスを作るにはまず「独力でやる」という発想から抜け出し、恐れを乗り越えてビジネスという冒険を楽しむことが必要だ。あなたに足りないものを持っている人、そしてあなたが持っているビジョン、明晰さ、実行計画などを必要とする人が必ずいるとすれば、二度とその恐れを感じることはないだろう。
21世紀のビジネス環境における成功のカギは、人と創造的に協働する能力を持つことだとわかった。どんな個人も、すべてを知ることはできないし、パズルのすべてのピースを持ち合わせることもできない。
愛される最も簡単な方法は、自分から愛することだ。顧客、スタッフ、取引先と恋に落ち、彼らに対する仕事、理解、尊敬、感謝を通して彼らの生活をより良いものにしようと心から願うことが必要だ。
卓越した経営者には、物語、歴史、市場での実績がある。彼らの成功は、それらをいかにうまく伝えるかにかかっている。あなたは、自分がなぜその市場に存在しているのかを知ってもらわなければならない。そして自分の夢や期待、いまの不満、個人的な失敗、これまで成し遂げてきたこと、これからまだ成し遂げようと努力していることを打ち明けねばならない。情熱を持って正直に打ち明ければ、予測をはるかに超える成功が待っている。
中小企業と創業まもない企業の95%は業績目標を達成していない。それは、会社の事業計画が商品、市場、顧客移行、マーケティングという4つの要素にしっかりと根付いていないからだ。ほとんどの企業が具体的で明確な将来像を持っていない。
かつて無名だったふつうの経営者が、いつしか卓越して本人も想像しなかったほど大成功したケースは何千とある。卓越した経営者には生まれながらにしてなるのではない、つくられるのだ。
経営者には、会社のあらゆる活動を動かす長期戦略がなくてはならない。見込み客の動向をつかみ、購入を決断させ、顧客にとって価値ある者を繰り返し買わせるまでの一連の戦略。そして、会社の全活動がその戦略を採用し、維持し、進めるものになっていなければならない。成功は、長期の戦略を持ち、知り、それに従うことで初めてやってくる。
人に仕事を任せる最も良い方法は、あなたが仕事だと思っていることを「遊び」だと思う人にそれをやらせることだ。あなたが尻込みする仕事も、他の誰かにとってはもっとも楽しみに思える仕事かもしれない。あなたは自分が本当に必要で、上手くやれて、情熱があると思える仕事に集中できるようになる。
市場調査は退屈で時間のかかる仕事のように思うかもしれないが、ビジネスで成功したいなら欠かせないプロセスだ。顧客がどのようなものに興味をひかれるのかを知る一つの方法だと思ってほしい。顧客の行動を観察して気付いたことから結論を導き出すという方法、それは、成功したい経営者やマネジャーが答えねばならない質問に客観的な答えを見つけるための方法なのだ。
不確実なことは怖いかもしれない。恐怖をなくすには、自分に対して失敗を許すことだ。あなたは必ず何度も失敗するだろうから。残念なことに、ほとんどの経営者は、事業が行き詰まったとき、何か違うことができるとは考えない。自分が犯した失敗で先が見えなくなり、麻痺状態に陥る。あなたがその仲間でいる必要はもうない。もっと意味のある有望で効果的な方法で市場を動かそう。
ほとんどの経営者が他社と同じ収益獲得手段を使って会社を経営しようとしている。そんなことでうまくいくはずがない。他のみんながしていることをするというのは、差別化していないということだ。
必要性はないがあなたの得意な作業は、あなたにとって時間の浪費だ。ある作業に関してあなたに平均以下の能力しかない場合、あなたはその仕事の適任者ではない。他の誰かにやらせてその人を監視するか、抜き取り検査をした方がいい。
皮肉なことに、人は行き詰まりを感じれば感じるほど、残念な結果しか出ていないにも関わらず、現状や今のやり方から離れがたくなる。しかし、いまの仕事のやり方や考え方を変えてみる絶好のタイミングがあるとすれば、景気の厳しい時しかない。
ビジネスで成功するとは、人が気付いていないニーズやニーズの変化を見つけ、自分にしかない知恵や共感、理解の仕方でそれに応える、それだけのことだ。要するに、人が認識さえしていないかもしれない問題を解決することである。問題には三種類ある。自分自身の問題、競争相手の問題、そして市場の問題だ。
マーケティングという意味で、人があなたを知るようになるのは、あなたがコミュニケーションを通して描く「一貫した」役どころ、または人物像・キャラクターを通してしかない。残念ながらほとんどの経営者は、市場に対して何の人物像も描き出していない。あなたは人々に好まれる信頼できる人物像をつくらなくてはならない。これがうまくできればできるほど、人はあなたを知っていると感じ、あなたを信頼する可能性が高くなり、ビジネスは早く大きくなる。
「どうしたら顧客のために付加価値を増すことができるのか」そこにこそ莫大なレバレッジが存在している。私はこの考え方のおかげで、とても自由になった気がする。だからこそ仕事をこれほど楽しめるのだと思う。
他をすべて凌ぐ人になろう。すべてにおいて卓越を目指そう。考えてもみてほしい。知識や貢献で他をすべて凌ぐ人と、ごく平均的な人と、どちらと取引したいだろうか。まずは付加価値と共感的なつながりという意味で他を凌ぐ必要がある。人が競争相手の商品ではなく、あなたの商品に高いお金を払わずにはいられないのは、その二つが安心や快適を生んでいるからだ。
イノベーションとは既存の要素や、既知の事実を組み換えるだけのことだ。古い要素で新しい組み合わせを考えられるかどうかは、関係性に気付けるかどうかにかかっている。ある人にはただの個別情報でも、ある人には知識の連鎖の一環になる。
卓越したビジネスとして素早い成功を収めるカギは、顧客と恋に落ちることだ。彼らの暮らしに利益、利点、豊かさ、保護、相互にとっていい関係をもたらすことを本当の目的に据えることができれば、すぐに卓越を達成することができる。