仕事の進め方を改造するために、誠実にそして慎重に取り組むこと。速いペースで展開する現代の競争社会では、物事をうまくこなして、そこにとどまっているだけでは足りないのだ。常に他をリードし続けなければならない。かなりの進歩を遂げたとしても、真のゴールは、自分がやることのすべてにおいて、絶えず向上し続けることなのである。
世界中のビジネスマンが似たような問題を抱えているのだ。彼らはやることが多すぎるのに、そのための時間は少なすぎると感じている。それはなぜだろうか。なぜいつも時間が足りないのだろう、働きすぎと感じながら、その一方で、無駄な時間を過ごしていると感じるのはなぜだろう。答えは単純そのもの。大部分の人たちが能率よく効果的に仕事をする方法を教わっていないからだ。
チャールズ・ディケンズはこう言った。「時間厳守の習慣、秩序と勉強、一度に一つのことに集中するための決断力。それらがなければ、私はこれほどの業績を残せなかっただろう。」この言葉からは仕事にも人生にも成功したいと思った時に欠かせない重要な要素が多く読み取れる。時間厳守の習慣、秩序、勤勉、決断力、そして集中力。
週に一度、上司と直属の部下の間で行う一対一ミーティングを日常業務に組み入れる。忙しい同僚同士が、互いに仕事の上でしっかりした連絡を保たなくてはならないときには、効率のいい接触時間が必要になる。それには一対一ミーティングが有効だ。重要なのはチームやグループでのミーティングではない。一対一のミーティングだ。毎週定期的に行う。予定を決めておかないと、みんなそのミーティングをあてにせず、今後も都合の悪い時間にあなたのオフィスにやってくるだろう。
どんな計画も、およそ時間の無駄だと感じる人もいる。計画に費やす時間からは、たいした利益が生まれないというのだ。仕事でストレスにさらされている。やることが多すぎるのに時間が少なすぎる。仕事が手に余る。一番重要なことを達成していない。こんなふうに感じるのは計画が甘いか、計画を立てていない場合が多い。
あなたに時間がどれだけあるかというのは問題ではない。むしろ、時間をどう使うかが問題なのだ。管理に充てる時間の最も有効な使い方は、毎日毎日出かけ、部下たちの間をまわることだ。あなたが仕事の手順をより簡略にして、部下たちの生産性をアップさせれば、経営上の未来像、戦略、そしてゴールのためにもっとたくさんのことができるようになる。
戦略はゴールを目指して築かれる。最終目標を設定せずして、それにふさわしい戦略を考えることはできない。ゴールというのは労力と行動が最終的に向かう広い意味での目標、あるいは標的のことだ。ゴールが重要なのは、いったん設定されると、そこに意識が向かい、集中力が増すからだ。意識を向け、集中することが生産性を伸ばす。つまり、処理できる重要事項が多くなる。
ベンチマーキング、自分の仕事と同じトップクラスの物事を比較してみるという作業は、品質向上に欠かせない道具だ。比較することで、自分がどの程度うまくやったのかがわかり、たいていはどうすればもっとうまくやれるかもわかる。あなたの目標とする人物と凡人との間に差があるなら、その人物の仕事ぶりを観察し、どういう行動がその差となって表れるのか、突きとめてみることだ。
仕事中にひっきりなしにかかってくる電話には、出ないと決めてしまおう。そのかわりに、一日一回か二回、折り返し電話をする。一日に二回、たとえば午前11時30分から正午までの間と、午後4時から5時までの間だけ電話に応じることにしたら、他の時間帯には電話をつながないようアシスタントに言っておく。最低限の時間で連絡が終わる。
ある事業にとって何が本当に重要なものかを決めるのは、会社のトップにいる重役たちの務めだ。これは気の抜けない戦略のステップなのだ。今現在の利益を上げるために、将来への投資をやめたり、あるいはコスト削減のために顧客へのサービスを犠牲にしたりすると、いずれの場合もビジネスは終局を迎えることになる。
面白いことに、悪意とか努力不足が問題の原因であることはめったにない。多くの社員が、自分の直面している問題を扱う権限を持っていないからであることが多い。社員が克服できない、あるいはコントロールできそうもない問題のほとんどが、上司の処理能力にあるのだ。
変化を起こす一番効果的な方法は、すこしずつ、段階的に行うことだ。あまりに多くを一度に与え、メンバーに重荷を背負わせる必要はない。一度に一つの業務に取り組ませ、きちんと終えたかどうか確認するだけでたいていは十分である。
アルバート・アインシュタインは自宅の電話番号を覚えていなかったと言われる。その理由を尋ねられ、こう答えた。「必要がないからだよ。電話帳を見ればわかることだ」。予定事項リストの1番から1000番までを覚えておこうとするのは、現実的とは言えない。いっそのこと忘れるべきことはすべて忘れてしまうのだ。
大きな手帳をデスクで使うにしろ、ハンドバッグやスーツのポケットに入る簡便なものを使うにしろ、一週間分が一目で見えるものを選ぶこと。そうすれば、いやでも週単位で計画を立てるようになり、仕事の予定を組む点でも、仕事を達成する点でも成功率が高くなるからだ。
他人の支援を引き出すというのは、個人的にも仕事の上でも、広い意味での成功に達する唯一の方法なのだ。他人の支援を得ることによってのみ、多種多様なものが生み出せる。誰であっても、ひとりきりでは何かを生産する能力、時間、そして知識に限界がある。上手に人を使うのは、生産の可能性を無限に広げることに他ならない。
すべては新しい習慣をひとつ身につけることから始まる。行動を起こすという習慣だ。アイデアが頭をよぎったら、新しい仕事の手法を試すため、いますぐやること。アイデアがひらめいた時に、思い切っていつもと違う筋道で仕事をやってみよう。自分の習慣は、自分で思い通りになるものだ。
私自身は長いこと、間違いのない経験則に頼っている。何かを任せなければならない時は、「忙しい人間に任せろ」というものだ。怠け者は仕事を与えられても、怠け者のままでいることが多い。忙しい人間は、絶えず、休みなく働いているから忙しいのであり、任命するにはぴったりの人間だ。
リストに優先順位を決めてしまうと、リストに上げた一つ一つに手が回らなくなることが多すぎる。「あまり重要でないこと」は、「もっと急ぎのこと」の登場で棚上げされてしまう。しまいに「あまり重要でないこと」は、棚の上で腐りはじめる。腐臭が漂うころには、それは最も優先すべき事柄になっている。
仕事をしながら整理をする。仕事の手順の一環として整理をすれば、最初から最後まで、同時進行できる。良い習慣を身につけよう。整理を何も考えずに行う習慣にしてしまえば、成功への道につながる楽なステップであることがわかるだろう。
注意していただきたいことは「すぐやる」というのは、毎日毎日、欠かさず、徹底して「すぐやる」ことだ。そもそも、「すぐやらない」ことが、あなたをトラブルに巻き込む原因になっている。「保留事項」という言葉は、すぐにはできないことや、あなたの管理下にないことを指す。
決断する行為そのものが、その決断が正しいかより重要。一般に、成功を収めた人たちは、決断にほとんど時間をかけず、その決断を変える時は時間をかける。決断が怖いという人は多い。決断したらそこから生まれる結果と、運命を共にすることになるからだ。私は、決断力のある人たちが間違った決断を下すのを見てきた。面白いことにそういう人たちは、自分たちの決断の目的とするところを最後には実現してしまうのだ。
乱雑さとは、仕事の環境には不適切な、まるで整理のついていない、散らかった状態のことだ。オフィスとデスクまわりが乱雑なままでは、効果的に仕事をするのは難しい。最大の効果が上がるように仕事場を整理するだけで、どれほどの時間を節約できるか、きっと驚かされるに違いない。
電子メールを扱うときのルールは「すぐやる」そして「すぐに削除する」ことだ。メッセージを初めて読んだときに、片付けて返事を出す。読み終えたメッセージで受信箱を散らかすのはやめよう。デリートキーを多用すること。あえて保存したいというメッセージは適切なフォルダに収める。
目的にかなった仕事を手際よくやれば、能率も効果・生産性もさらに上がる。個人の生産性を高めるためには、簡単に言うと、さほど重要ではないことには最小の時間をかけ、重要なことに最大の時間を費やすのだ。何が重要か、まずはそれを決めよう。それから自分にとって重要と決めた仕事を、より能率よく、効果的にこなす方法を見つける。
情報管理のより良い方法は、情報が届く前に選別してしまうことだ。支援してくれるスタッフがいれば、なおいいだろう。理想的な解決法は、すべての情報の出所を分析し、重要でない情報は、配布元のリストから自分の名前を消させたり、購読をキャンセルしたりして、出所の段階で消してしまうことだ。
類似したコミュニケーション、類似した業務をまとめて処理し、無駄な動作を減らしてみよう。それぞれの業務をもっと効果的に終えることができるはずだ。仕事の多くは単純で機械的な作業に置き換えることができる。そういった仕事は、まとめるのもたやすい。この方法の効果は、計り知れないほど大きい。
一日に3・4回、電子メールを片付けるようにするといいだろう。電子メールを処理する時間を予定表に書き込もう。できれば時間制限を設けて、その時間内で処理を終えるようにする。できないなら、メッセージを減らす方法を見つける。強調したいのは「処理する」というのは、「目を通して、あとで返事を書くことに決める」ことではない。すぐに終わらせるという意味だ。
計画の目的のひとつは、仕事を明確にし、長期はもちろん、一日の作業まで自分が何をするべきかを知ることだ。多くの人は、計画というものを特に自分自身の仕事についてほとんど立てていない。